不動産投資の平均利回りは年間5~10%程度が一般的。正直副業や、低資金では手が出せないと思う方も多いと思います。そんな不動産投資はどんな方法で利益を手にするのか。今回は守りの手堅いイメージではなく、しっかりと月給計算で考える不動産投資を考えて行きましょう。
不動産投資は副業でも月収100万円が可能!?
レバレッジはFXなどでよく聞くワードですが、簡単に言うと自分の資金よりも大きく投資できる方法です。リスクが高すぎるイメージのワードですが、不動産投資においてはどんなんでしょうか
銀行は、不動産投資に対しては、年収の10~20倍の融資が可能なこともあります。これを元手に投資して大きなリターンを得るわけです。
もちろん、いきなり「月100万円」は現実的ではありません。今回は40歳前後から不動産投資をスタートする場合のロードマップを描いてみましょう。
40万くらいなら3年程度で到達
次に挙げる例は、どんな物件を買えば、目標の手取り金額に達するかを示したものです。融資条件、物件の構造や規模などによって数値は変わりますので、あくまでも目安とお考えください。
※所得税等の税金はその他の所得によって左右されるため、税引き前キャッシュフローで表示。
目標手取り月5万円
物件:中古ワンルームマンション
物件価格:諸費用込みで1,000万円
不動産投資ローン:ゼロ(全額現金で購入)
表面利回り:7~8%
→手取り月5万円(年間60万円)
ちょっとした副収入を目的にしているなら、これでゴールです。ただ、より大きな収入を目指す場合は、手持ち資金をすべて購入資金に投入したり、せっかく増えた手取り収入を小遣いとして使ってしまうのは避けましょう。
また、サラリーマンの場合、新築ワンルームを全額融資(不動産投資ローン)で購入してしまうと、手取り収入が限りなくゼロに近いかマイナスになるケースがほとんどですので、注意してください。
目標手取り月20~25万円
①物件:新築アパート
購入者年収:800万円
物件価格:8,000万円
不動産投資ローン:8,000万円(フルローン)
表面利回り:8%
→手取り月20万円(年間240万円)
②物件:中古一棟マンション
購入者年収:1,000万円
物件価格:1億2,000万円
不動産投資ローン:1億2,000万円(フルローン)
表面利回り:7%
→手取り月25万円(年間300万円)
上場企業のサラリーマンで、年収が700~800万円以上あれば、最初から一棟モノを購入することが可能です。
目標手取り月40~50万円
上記②のパターンで、数年後にさらにもう1棟、物件を購入すれば月40~50万円の収入も実現できます。
短期間で、さらに8,000万円~1億円以上も融資を受けられるのかと疑問に思うかもしれませんが、1棟目を購入した後、2~3年に渡って不動産投資ローン返済を続ければ、借入元金はかなり減って担保余力が生まれます。また、手取り収入を貯蓄していくと、金融資産も着実に増えるでしょう。その結果、銀行の評価がよくなります。賃料収入が安定して入っていれば、サラリーマンの年収と合わせて考慮され、個人属性も高まります。
このようにして「手取り月40~50万円」、物件価格で2~3億円、物件数でいえば2~3棟目までは、比較的スムーズに進められるでしょう。
ところが、サラリーマン大家さんには「年収の壁」があります。これは、金融機関が個人投資家に設定している1人当りの与信枠のことで、だいたい「年収の30倍」または「3億円」くらいといわれています。この壁を超えなければ、「月100万円」には到達できません。
では、どうすればいいのでしょうか?
年収の壁を突破するには
金融機関の与信の上限「年収の壁」を突破するためのキーワードは「出口戦略」と「法人化」です。
出口戦略を組み合わせて手元資金を持つ
購入した2~3棟のうち、所有期間が5年を超えた物件1棟を売却して資金を作る方法です。個人の場合、不動産の所有期間が5年を超えて、譲渡税率が5年以下の約半分になるタイミングを活かすわけです。
売却する物件が値上がりしていなくても大丈夫です。保有していた5年間の返済によって不動産投資ローン残高が減っているので、売却して不動産投資ローンを精算した後に、手元資金が残ります。※譲渡所得税がかかる場合があります。
また、手取り収入も使っていなければ、かなり貯まっているでしょう。これらを合わせて潤沢な資金を提示すれば、銀行の融資枠を拡大することができるはずです。それによって、より大型で高収益な物件を購入することができ、手取り収入を増やすスピードを上げることができるでしょう。
資産管理法人の活用
「年収の壁」を越える2つ目の方法は「法人化」です。
たとえば、1棟目を購入する時点で「資産管理会社」を設立。その会社が賃貸住宅をサブリース(一括借り上げ)する形にして手数料を支払い、会社は少なくとも3年以上は黒字決算を続けます。
銀行は過去3年間の決算書をチェックして会社の評価をするので、法人(会社)に対するプロパー融資(外部機関による信用保証を受けない融資)が受けられる可能性が高まるでしょう。
こうした手法を組み合わせることによって、サラリーマン大家の「年収の壁」を乗り越え、「手取り月100万円」の達成が夢ではなくなります。
不動産投資に置けるリスク
不動産投資はミドルリスク・ロングリターンで比較的に手堅い投資と言われています。しかし不動産投資も入居者の需要がなければ家賃収入を得ることが出来なくなります。また、物件の問題点を見逃していたことで、大きな損をすることになるかもしれません。
物件をよく見ていなかった、賃貸需要を見誤ったなど、不動産投資で失敗をしてしまった人の実例を見て、どうすれば不動産投資で失敗をしないのかを学んでいきましょう。
今回は失敗事例をいくつか紹介します。
失敗事例その①
郊外の大学がまさかの移転をしてしまった結果
購入物件:約900万円の1Kマンション
購入時の築年数:30年
私立大学の近くにある物件を購入。大学の近くには2階建てのアパートが多いのに対して、Kさんのマンションはやや駅から離れてはいたものの、防犯性の高さから女子学生を中心に賃貸需要が期待できました。
私立大学は関東地方とはいってもやや郊外にあったので、賃料は6万円程度で、利回りは約8%を見込んでいました。築30年ほどのマンションとしても悪くなく、1人暮らしをしたい学生の賃貸需要があれば、安定した不動産投資ができるだろうと思い購入。
購入してから最初の数年間は、その思惑通りに空室を発生させることもなく、入居率はほぼ100%を保つことができていました。ところが5年を過ぎたあたりで、なんと大学が移転を発表。
その影響で大学の周辺に住んでいた学生も引っ越すことになり、期待していた新入生も翌年からわずかになってしまいました。もともと大学から近いと言うだけでマンションを買っていたので、一気に入居者付けに苦労することになったのです。
また、学校の移転に伴い出て行く住人が3月ギリギリまで入居していたので、内覧可能になるのが4月からとなり、年度の切り替わりのタイミングでうまく入居者付けできず、1年近く空室になるという事態も発生。その年の利回りは0%となってしまいました。結局売却することにしたのですが、大学の移転によって新たな購入希望者もなく、購入時の価格の3分の1程度でしか売却出来なかったそうです。
失敗事例その②
競売物件に素人が安易に手を出した結果
購入物件:約2,000万円の2DKマンション
購入時の築年数:25年
競売物件とは、債務の返済が滞った人や税金の未払いなどの債権として裁判所が売りに出すものです。
繁華街近くの2DKのマンションを2,000万円ほどで購入。付近の同条件のマンションの相場が2,800万円前後だったそうなので、かなり安い買い物をしたと言えるでしょう。賃貸に出しても家賃収入で月15万円は期待できるような物件でしたし、リフォームして転売することも考えられました。
しかし実際に購入し、室内を見ると返済が滞った人が住んでいただけに、残置物や溜め込んだゴミが山のようになっていて惨憺たる有様でした。部屋の内装もひどい状態で、壁紙の交換や床の貼り替えが必要なのはもちろんのこと、トイレや風呂などにも垢やサビが目立っており、賃貸に出すには、これらも取り替えないと使い物になりませんでした。
結局、残置物の処分をしたうえで内装や設備のフルリフォームまでしたところ、500万円以上かかってしまったそうです。前の所有者がそれまで滞納していた管理費などもあり、それを支払ったことで競売で安く物件をメリットは皆無に。
フルリフォーム後は管理をするのも嫌になり、そのまま売却してしまったようですが、管理費や税金、仲介手数料などを無駄に支払い時間も無駄に費やしただけで、高い勉強代になってしまった。
失敗事例その③
利回りだけをみて郊外で中古のワンルームマンションを購入した結果
購入物件:約800万円のワンルームマンション
築年数:30年
購入費用の低さと利回りから、東京の郊外に中古のワンルームマンションを購入。約800万円。月5万円の家賃収入を想定していたので、単純計算で表面利回りは7.5%です。入居者もすぐに決まり、問題なく家賃収入を得られていましたが、契約更新のタイミングで入居者が退去してしまいました。そこからが、Cさんにとって想定外でした。もともと築年数が古く、駅から15分ほどのところにある物件だったこともあり、入居者がなかなか見つからなかったのです。
そこで家賃を4万円まで下げ、やっとのことで入居者を見つけたものの、空室期間が4ヶ月も空いてしまいました。結局、当初想定していた7.5%という利回りも、その年は4%まで下がってしまうことに。さらに家賃を下げたことによって、毎月の手出しが増えてしまいました。
一時は売却も検討しましたが、築年数が古く駅からも少し離れているため、買い手が見つからなかったそうです。利回りだけをみて購入しても、そもそも入居者がいなければ利回りは0になってしまいます。
失敗を防ぐためには?
1つの大学や企業に依存した不動産投資はやめる
少子化のこの時代、たった1つの大学や企業による需要を見込んで物件を買うのではなく、交通の便がいい場所など、環境面や生活面で一人暮らしの需要がなくならない物件を選ぶようにしましょう。
内覧ができないリスクが高い競売物件には投資しない
競売物件は、相場より格安で買えることは大きな魅力に思えますが、通常の物件と違い内覧ができない、売り主が瑕疵担保責任を負わない、入居者は買い主が自分で退去をさせなければいけないなどのリスクがあり、初心者にはいろいろとハードルが高いと言えます。安全に不動産投資をするのであれば、競売物件には手を出さないほうが無難です。また、近年は一般の入札者も多く落札価格が高い傾向にあり市場の価格とほぼ変わりが無いようです。
高利回りや目先の収益に惑わされないようにする
周辺の家賃と比べて高い家賃が設定されているのであれば、次の入居者が入るタイミングで家賃が下がる可能性があることは分かるはずですが、数字に惑わされて購入してしまう場合もあります。「木を見て森を見ず」と言うことわざの通り、周辺の家賃相場はもちろん、物件の築年数やグレードを良く見ずに、高利回りだと言う理由だけで購入すると、失敗しかねません。安定した家賃収入を確実に得たいのであれば、利回りで判断するのではなく、家賃が適正価格であるかどうかや物件が家賃に見合ったグレードかどうかなどを見極める必要があります。
ではどんな物件がおすすめ?
収益性を目当てにリスクを十分に考慮せず物件を購入すると、失敗する可能性が高まります。では不動産投資で成功するためには、どのような物件を購入するべきなのか。ここからは成功に近づくためのポイントを2つご紹介します。
重要と魅力のある都心部の物件
入居率を高く維持するために必要な条件は、物件があるエリアに多く人が住んでいる、あるいは人が増える見込みがある、賃貸需要がある場所を選ぶことが重要です。
新築のブランド性のある物件
中古物件より相対的に高いものですが、不動産投資においては、それを補って余りあるメリットを持っています。
・家賃収入が長期で得られる
新築は中古よりも耐用年数が長い分、長期にわたって家賃収入が得られます。将来、安定的な収入を得ることを考えるのであれば、新築のほうがメリットがあります。
・ブランド物件は資産価値が落ちにくい
ブランドマンションは、立地面やデザイン面、機能面、セキュリティー面、耐震面でも信頼性があります。また、不動産開発会社もブランド価値の低下を避けるため、できるだけ市場に安く出回らないように努力しています。
・維持コストは安い
中古物件は初期費用が安いものの、修繕積立金や管理費が高い傾向にありますが新築ブランドマンションは逆にメンテナンスや管理が基本的な内容で収まるため、維持費も安く済みます。
また新築は入居率が高いため、広告費を掛けて集客をしなくても空室を埋めやすいのが特徴です。少しでも気になるマンションがあれば、問い合わせをして内覧を行えば、「購入前の印象と違った!」というリスクは回避できるでしょう。
不動産投資に置けるプラスアルファの収益
色々リスクもありますが、「物件を所有する」と言うことは大きな力になることも事実。特に都心部での不動産投資においては、家賃収入以外にも遊休スペースで収入を得ることによって、利回りのアップを可能にします。
・敷地内のわずかな余ったコーナーを活かす
バイク駐車場(月極)、移動販売者への時間貸しなど。
・貸し看板、看板広告で収入を得る
分譲マンションの広告、各種商店の看板広告などを設置。
・太陽光発電で売電収入を得る
機器が値下がり傾向にある太陽光発電を設置して、売電収入を得る。
などなど、効率的に活用して行くことも考えて行けば、多少利回りの低い物件でも良い利益が出せるかもしれません。
まとめ
収入目安の条件と失敗例を見てきましたが、やはりあくまで投資なのでリスクは付き物です。リスクがない。なんてことはあり得ません。そんな美味しい話はないんです。しっかりと情報を集めて、「自分で」考え決断をしてください。くれぐれも営業担当に流されないよう注意しましょうね!
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